2012年4月29日日曜日

ホスピタリティ論。

From Evernote:

ホスピタリティ論。

ノマド・エジュケーションにとって重要な要素について、
これから数日に分けて検討していきたい。

ノマド・エジュケーションのキーワードには以下のものがあげられる。

①ホスピタリティ
②非日常性
③フロー経験・没我経験
④ネットワーク

まずはホスピタリティから検討したい。

ホスピタリティについては近年、各分野から考察がなされるようになってきている。
なお、本稿山本哲士の『ホスピタリティ原論』に影響を受けている点を先にことわっておきたい。

ホスピタリティとはサービスを超えたサービスである。
サービスは画一性を持っている。
「お客」であればすべての人にもたらされる。

ホスピタリティは異なる。
他者に応じて、必要とされるものを提供していく姿勢である。
「もてなし」の姿勢でもある。

他者に必要とされることを想像し、
その実現を行なっていく態度である。

このホスピタリティは、
人に応じて必要とされる教育サービスを提供する意味で
ノマド・エジュケーションのキーとなる。

ただ単に「学ばないといけないから」やるのではなく、
本当にその内容が必要だとわかり、
あるいはその内容の学習が楽しいというメッセージを伝えていく
教育のあり方である。

ホスピタリティということばは元々「ホスピス」から来ている。
死に逝く人の枕元で、最後の願いを叶える、という姿勢である。

今にも死にそうな人が「ラム酒を飲みたい」といったら、
たとえ高速道路を使ってでも願いを叶えようとするだろう。
ホスピタリティもこの枕元(=臨床)の場において求められるものを
うまく提供していく姿勢を意味する。

ホスピタリティが重視するのは、ホスピタリティを提供する相手は
本質的には「敵」である点だ。

そう、お客は「敵」なのだ。

「敵」だからこそ、理不尽な要求を行う。
「敵」だからこそ、事を荒立てずにものごとを解決すべきなのだ。

戦わずして相手に満足を提供する。
それがホスピタリティの本質である。

学校においても「モンスターペアレント」が騒がれている。
現場の教員は「問題だ」という接し方をすることが多い。

しかし、ホスピタリティの考え方からすれば、顧客がわがままをいうのは
「当り前」なのである。
なぜなら顧客は「敵」だからである。

「敵」だと認識するところから、
「どうすれば表立った対立をせずに解決できるか」
という知恵が導かれるのである。

どこまでも個人に立脚し、
個人が求める教育を提供する姿勢。
それこそがノマド・エジュケーションである。 

0 件のコメント: